実用化への歩み
平成 6年(1994年)に太田茂(川崎医療福祉大学教授)と岸本俊夫が地元の企業 2社と 研究グループを組み、在宅の独居高齢者を支援する「ケーアイ(KI)システム」の 研究を開始しました。
当時はまだ「パソコンといえば NEC PC-9801」という時代で、被験者宅に光電管を 使用した「行動センサ」とデータ記録装置としてパソコンを設置し、独居高齢者の 宅内行動を記録するだけのものでした。
平成 7年(1995年)太田茂が提案した 「在宅高齢者の健康状態遠隔監視システムの研究開発」が通産省 (現在の経済産業省)の外郭団体 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の 「平成 7度提案公募型・最先端分野研究開発事業」に採択されました。
当時岸本が所属するソレックス(株)が行動センサと宅内装置を設計製作し、 この研究開発プロジェクトに参画しました。プロジェクトは平成 7年から 8年にかけて 約 1年半実施しました。「行動センサ」は光電管から焦電型赤外線受光素子に方式が 変り、計測した行動データも電話回線を通してリモートで収集することができるように なりました。被験者も 4名に増え、膨大な独居高齢者の宅内行動データが集まりました。
このプロジェクトの成果をあえて一言で言うと、行動データを解析して 「いつもと異なる生活状態」を自動的に検出することができる というものです。
平成 11年(1999年)ソレックス(株)が太田茂と共同で提案した 「独居高齢者行動状態モニタリング技術の研究開発」が 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の 「人間行動適合型生活環境創出システム技術事業(人間行動プロジェクト)」に 採択されました。この事業は平成 11〜15年度の 5年間実施されました。
人間行動プロジェクト全体の成果は (社)人間生活工学研究センター でご覧になれます。
独居高齢者行動状態モニタリング技術の研究成果は、 福むすびネットのホームページで ご覧になれます。文書による報告書ばかりでなく、仮想的な独居高齢者の生活状態を 閲覧するデモを体験することができます。
(有)福祉システム研究所は平成 14年(2002年)12月、これまでの研究開発成果を 統合・実用化し、独居高齢者の見守りサービスの事業化に着手しました。
これまでの研究開発によって「いつもと異なる生活状態」を自動的に検出し、 電子メールで離れて暮らす家族や親族に速やかに通知することが できるようになりました。
平素の生活パターンにもよりますが、居間や台所で 3時間、トイレで 30分以内に 「いつもと異なる生活状態」を検出できます。(これらの数値は個人の 生活パターンによって大きく異なりますので、保証するものではありません。)
ただ、実験に使用した行動センサ、宅内装置等のシステムは、価格、保守、デザインや 使い勝手の面でまだ改良の余地が残されています。
残念ながらこれらの改良は、現在停止したままです。システムは細々と稼働中です。
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1.0 | 2003.01.29 | TK | Original |
1.0.1 | 2008.01.27 | TK | 花ライオン用に変更。 |